前回の続きです。
エルメス本社から招待を受け、高見沢さんはパリへ向かいます。
再び緊張しながら、本店を訪れたそうです。
約束の時間ぴったりに到着すると、社長ではなく別の方が迎えてくださいました。
「申し訳ありません。社長はまだ仕事が終わりません。よろしければ、それまで美術館をご覧になりますか?」
そう案内された高見沢さんは、
「さすがエルメスの社長。お忙しいんだな」
と思われたそうです。
案内された美術館には、エルメスが代々手掛けてきた馬具など、貴重な品々が数多く展示されていました。
その中に、馬具職人の等身大の人形がありました。
「よくできているなぁ」
そう思って見ていた、その瞬間です。
突然、その人形が動き出し、
「Hello! Mr. TAKAMIZAWA!」
と話しかけてきたのです。
なんと、その人形だと思っていた人物こそ、当時のエルメス社長、ジャン・ルイ・デュマ氏ご本人でした。
馬具職人に扮し、じっと動かず、高見沢さんを驚かせようと待っていたのです。
なんとも遊び心あふれる社長ですよね。
私はこのエピソードを知った時、
「エルメスって、本当に素敵な会社なんだ」
と心から思いました。
そんなわけで、私のエルメス道は始まったのです。
※この記事は、当時の『コスモポリタン』掲載記事や、エルメス社の機関紙、当時関係者から伺ったお話などをもとにまとめています。
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